Loving Vincent

水 旧暦 9月 20 日 仏滅 己亥 七赤金星 Vendela V45 25110 日目

昨日は立冬、今朝は芝生に霜が降りて、起きると外はうっすらと白い世界であった。Loving Vincent が本日プレミアム上映と新聞に小さく出てゐたので、同居人と美術好きな隣の Agneta とを誘って三人で見に行った。言語は英語でスウェーデン語の字幕付き。字幕は1行目を追ひかけるだけで変はってしまふので、どこまで理解したかはおぼつかないところもある。それでも終はる頃には涙腺がゆるみさうに感じた。先月、東京上野の東京都美術館で「ボストン美術館の至宝展」を見たばかりである。あそこで見たあの郵便配達夫のルーラン小父さんが、あの絵のままでアニメーションになって画面が動く。郵便配達夫ばかりではない、晩年のゴッホのモデルになった人たちが数多く登場して、ゴッホの絵画の世界が動的に動く。ゴッホファンにはたまらないのではないかと思はれた。物語は郵便配達夫の息子がゴッホの手紙を弟に届けに行く展開。彼はなぜ、どの様に自死に至ったのか、謎解きの一面もあって、しかもそこにゴッホの優しさが垣間見える。8年間に800枚もの絵を描いたゴッホであったが、自分が生きてゐる間には、それらの絵を誰にも認めてもらふことがなかった。芸術で身を立てる人々ばかりでなく、一般市民の僕たちにも、「君の生き方はそれで良いのかね」と疑問を投げかけられる様で、それでゐてまた妙に勇気付けられるのを感じる映画であった。