日本庭園の家

火 旧暦 9月 19 日 先負 戊戌 八白土星 立冬 Ingegerd Ingela V45 25109 日目

我が町の郊外に住むご夫婦があって、10 年以上も前から知り合ひではあるのだが普段はあまり行き来もなかった。お茶にいらっしゃいと招待を受けて同居人と行って来た。広いお庭は日本庭園になってゐて、樹齢何百年かと思はせる木々が立つ中に、茶室風の建物があったり、池があったり、枯山水があったりする。たくさんの草木をみて回り、これは何で九州から、あれは北海道から来たもの、とか説明を受けてもなかなかついて行くのが大変である。が、広い空の下、夕暮れに近い晩秋の庭園に立つと、まことに風雅な心持ちがする。僕ら日本人は、外国人に日本のことを知ってもらはうとする気持ちが働くが、時々気をつけなければいけないのは、相手は自分以上に日本の心を知ってゐる場合があることだ。もちろん、そんな人はそんなに多くはないのだが、時々、日本語の世界を超えて、いきなりある境地にワープしてしまふ人があるのも確かである。でも、これだけのお庭を維持するのはどんなにか大変であらうと、そのことを思ふと気が遠くなる様な気がした。ご夫婦はこれまでにも日本へ何度か行ってゐる。お部屋に入って、日本庭園の写真集を何冊か見せて頂いた。僕のよく知らない寺院も紹介されてゐて、しかもそれがいちいちスウェーデン語で書かれてゐる。この国で、ずいぶん専門的な日本の旅行案内書が出版されてゐるのに最初は驚いたが、それは皆、ご自分で旅の思ひ出を編集、作成なさったご本であったと知って二度ビックリ。清水寺の秋の風景とか、知恩院の夜景とか、ご自分で撮られた写真がいちいちプロフェッショナルな出来栄へであるので、てっきり市販されてゐる本かと思ったのだ。圧倒されて、家に帰るとすぐに寝てしまった。