7秒間の電気故障

2023-05-15 (月)(令和5年癸卯)<旧暦 3 月 26 日>(仏滅 癸酉 四緑木星) Sofia Sonja  第 20 週 第 27124 日

 

Stockholm の北の方に Täby といふコミューンがあり、そこにHagby といふ町がある。スウェーデンの主要送電網の開閉所がある町である。そこで4月26日早朝に定期点検の準備中に問題が起きた。新聞記事(Ny Teknik 2023-05-08電子版記事)を読んでもしっかり理解できなかったのだが、この時誤操作で開閉装置が短絡したらしい。僕の理解では、一般に主回路には遮断器と断路器が直列に置かれる。短絡事故が起きた時、その影響が外部に広がらないやうに素早く回路を遮断することが遮断器の役目である。短絡が起きれば大きな電流が流れる。その状態でスイッチをオフにしやうと思っても激しいアークが両端を繋いでしまって切るに切れないことがある。さうさせないために、起こりうる短絡電流の大きさに応じて遮断できる容量を適切に選んで遮断器が設置されるものである。ところがこの日、220KV の高圧回路が短絡してアークが発生し、即座に障害箇所を隔離できなかったといふ。対象となる回路の保護器はその上位の保護器が動作する前に作動するなどの措置が取られてゐるはずなのだが、どういふものか大きな電圧低下が広範囲な送電網に広がったのだといふ。およそ7秒後には電圧は再び安定したけれども、このために SVTや Sveriges Radio は一時的な放送中断があったし、Stockholm の地下鉄や公共交通機関が停止し、多くの信号機も停止したといふ。深刻であったのは Forsmark 原子力発電所1号機と2号機が保護リレーの働きで送電網から切り離され、負荷を遮断された原子炉がスクラムしたことだ。2150MWの大幅な電力喪失がいっぺんに起きたので送電網の電源周波数が急激に低下した。通常は49,9Hz と50,1Hzの間にあるべき周波数が、10分にわたり下限値を下回り、最悪49,3Hz まで下がったといふ。もう少しこの低下の程度が大きければ大規模停電に至るのではないかと、ヒヤリとする様なニュースであった。Forsmark 3号機がスクラムを免れたのは不幸中の幸ひであった。もし同時にスクラムしてゐたら大規模停電のパニックに至ったかもしれない。4月26日にそんな重大なことが起きてゐたなんて、この記事を読むまでは知らなかった。電力消費者が電気を同時にたくさん使ひ過ぎた場合にも周波数低下は起こる。似た様な事故はどこの国でも起こりうるのではないか。日本では電力の需要と供給が逼迫する地域が多いと聞くので気になる。

昨日の散歩時の写真