平家物語「赦文 1」

2021-08-16 (月)(令和3年辛丑)<旧暦 7 月 9 日> (先負 丙申 四緑木星)上弦 Brynolf 第 33 週 第 26483 日

 

平家物語 巻第三 は「赦文(ゆるしぶみ)」で始まる。治承2年(1178年)元旦、院御所では拝礼が行はれた。また、正月4日には高倉天皇後白河院の御所に新年のご挨拶に行幸された。いづれも例年通りの行事ではあるのだが、後白河院はお怒りをためてゐらっしゃった。と言ふのも、去年の夏、新大納言成親卿をはじめとして、側近の人々がたくさん処刑されてしまったことを返す返すも悔しくお感じになってゐたからである。そのことを思ふと政治も思ふようにはかどらず、憂鬱な新年をお過ごしであった。その一方で平清盛の方でも、去年、多田蔵人行綱が鹿ケ谷の陰謀を密告してきてからといふものは、法皇も油断のならないお方だと胸の内に思ひ申し上げるようになった。うはべは何事もないように振る舞はれたが、内心では用心して、不愉快な表情をしながら無理に笑顔を作られるのだった。正月7日になると、東の空に彗星が現れた。尾を旗のように引いて、これが現れると天子が四方を征伐する前兆とされ、蚩尤旗(しゆうき)とも赤気(せきき)とも呼ばれる彗星であった。それは18日になって光を増した。

f:id:sveski:20210817050555j:plain

自宅から一番近い川。バルト海の水位が上がると増水する。豪雨でもさうなるかも。