折紙つきの折紙師

2021-02-05 (金)(令和3年辛丑)<旧暦 12 月 24 日> (大安 甲申 三碧木星)下弦 Agata Agda  第 5 週 第 26292 日

 

ストックホルムに天才的折紙師が住んでゐる。と言へば、ああ、あの人ねとわかる人が多いのだが、念のために書くと、鳥本範さんといふ人である。飛ばせば必ず自分のところに戻ってくる紙飛行機とか、ニルスのふしぎな旅の折り紙とか、何年か前には、政治家たちの顔の特徴を捉えて折り紙で表現したこともあった。折り紙を使って数学を理解することも提唱し、スウェーデン社会で教育の面でも貢献が大きい。様々な折り紙を一体どんな風にして創作するのか、僕には想像もつかないのだが、将棋や囲碁をやる人が何手も先を読む様に、頭の中に立体的な複雑な組み立てが先へ先へと湧き上がってくるのに違ひない。紙には厚みがあり、折るたびに厚みが増すので、その厚みも計算に入れるさうである。この人に直接会ふことは少ないのだが、それでも30年にわたって昵懇にして頂いてゐる。先日、牛の折紙作品を送ってくれた。机の上に飾ってゐるが、貴重な作品なので、少しでも人の目に触れる方が良いかと思って、今日のブログで書くことにした。牛は全長13センチ、高さ8センチほどで手のひらに乗る大きさであるが、元の紙は一辺が35センチの正方形の越前和紙である。切り込みを入れずに折り込んでここまで作るのだからすごいと思ふ。僕らは紙なら世界中どこの国でも同じと思ってしまふが、本当に折り紙に適した紙は日本にしかないさうである。湿度などの関係で微妙に伸びる時も、日本の紙は縦横同じ割合で伸びるので良いのださうである。また、塗装の仕方なども折り紙に最も適した方法が採られてゐるのは日本のものだけださうである。折った時の手応へもずいぶん違ふらしい。出来上がった作品は時々手入れする必要があるさうである。といふ話を聞けば、無造作に机の上に置くのは失礼な話なのだが、毎日眺めるためにやはり机の上に置くとことにした。ところで、この鳥本さんは実は僕と同じ福井の出身で、しかも学年も同じである。別々の高校に行ったから面識もなかったが、鳥本さんが中学校の時に同級だった人たちと僕とが同じ高校で席を並べたこともあり、ストックホルムで昔話に花を咲かせたこともある。僕は早生まれで丑年の生まれなので、今年は年男といふこともあり、送ってくれた。貴重なものをいただいてありがたい。なほ、鳥本さんのホームページは https://torimoto.se である。

 

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牛は大地をふみしめて歩く ー 鳥本範さんの作品 「牛」