チェ・ゲバラ伝を読む

2019-06-08 (土)(令和元年己亥)<旧暦 5 月 6 日>(仏滅 丙子 六白金星) Eivor Majvor Pingstafton 第 23週 第 25685 日

 

チェ・ゲバラといふ人は純粋な気持ちを持ち、優秀で、勇敢な英雄であるとは聞いてゐたが、Kindle 版で三好徹著の「チェ・ゲバラ伝」を読んでみて、その思ひを強くした。ただ、それでも疑問は残る。「武力闘争に訴へなければコトは成就しない」といふ思ひ込みに疑問を持つのだ。現実を見れば目標の実現のためには武力闘争より他に方法はないのかもしれないし、日本でも明治維新の頃までは、いや戦前までは、主義主張のために刃傷沙汰に及ぶことは普通にあったのだから、戦後日本の平和主義で育った僕らの価値観は甘っちょろいだけなのかもしれない。だが、それでも、どんな義憤も暴力を正当化できないと僕は思ふ。インド独立の父であるマハトマ・ガンディーを見よ。あの「非暴力・不服従」の抵抗を知る僕には、いかにチェ・ゲバラといへども違和感が残るのだ。民衆扇動やゲリラ戦を取らなければ勝利できない世界はあまりに悲しい。クーデターで政権を倒しても、権力を手にした新政権の野心がまた同じ過ちを繰り返すのが、世界によくあるパターンではないかと思ふ。チェ・ゲバラといふ人は権力をほしいままにする様な人ではなくて、その点は偉いと思ふが、果たして、ゲリラ戦を通じてしか人民を解放することはできないのかなと思ふばかりである。

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S:ta Katarina Kyrka