KVA - JSPS Seminar

2018-11-27 (火)(平成 30 年戊戌)<旧暦 10 月 20 日>(大安 癸亥 一白水星) Astrid Asta  第48週 第 25493 日

 

(昨日のつづき)梶田先生は KAGRA のことについてもお話しされた。KAGRA はやはり岐阜県神岡鉱山に建設される。その実体はレーザー干渉計で、重力波の検出を目的としてゐる。重力波検出はアメリカが最も進んでゐて、LIGO が有名である。アメリカ本土に LIGO Hanford と LIGO Livingston があり、インドに LIGO India がある。この他にイタリアに Virgo がある。世界に分散された干渉計が同時に重力波を検出できれば、それだけ観測の信頼性が高まる。その意味で KAGRA には大きな期待が寄せられてゐる。重力波については Lund 大学の Dr Ross Church さんもお話をされた。LISA といふ、宇宙にアンテナを置く重力波検出器について話された。Stockholm 大学の Dr. Erin O’Sullivan さんは南極に設置されたアイスキューブについて話をされた。銀河系外から届くニュートリノを検出する装置である。また、同じく女性で、スイスにある CERNLHC で研究されてゐる Lund 大学の Dr Caterina Doglioni さんも dark matter の本質を探る実験のお話をされた。LHC といふのは Large Hadron Collider で、ハドロンの様な重い粒子を衝突させるところに特徴がある。世界の中では最も進んだ実験がなされてゐる。ちなみに日本からも若い女性が CERN で研究してゐることを新聞で読んだことがある。dark matter については Stockholm 大学の Jan Conrad 教授もお話をされた。たくさんのお話を聞いたが、印象深かったのは最初に講演された村山斉先生のお話であった。東京大学とカリフォルニア大学バークレーで教授をされてゐる。カプリ IPMU の機構長もされてゐた。講演のタイトルは ”New Windows to the Universe - a view onto the dark side of the Cosmos”. 宇宙を構成する物質のほとんどは dark matter であり、dark matter は宇宙にメリハリをつけるといふか、銀河や星が生まれるための母となってゐるといふ様なお話をされた。新聞などでしか知らない先生方のお話を直接伺ふ機会に恵まれて有意義な時を過ごすことができた。

 

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セミナーの会場となった建物