Lid 教会

木 旧暦 4月23日 友引 乙巳 九紫火星 Erik V20 24936 日目

仕事を辞めてからの僕は、ほとんどいつも家に居る。社会と交はることがない。それに比べると同居人は、年金生活に入ってからも、昔の職場へ応援で出ることもあるし、それとは別に教会へもちょくちょく出かける。僕よりは遥かに人との交はりがある。今日はその教会主催の遠足があるといふので、僕も連れて行ってもらった。「キリスト者でないものはお断り」といふ様な排他的な集まりではないので安心である。行けば老人ばかりで、高齢者を自認する同居人と僕であっても、18 名の参加者の中では一番若い方であった。朝、教会の前からマイクロバスに乗り込み、お天気にも恵まれて、楽しい遠足であった。最初に行った場所は Lid といふ過疎地区の教会。Sörmland の、湖や、林や、牧草地に草を食む馬などを眺めながら細い道を 30 分ほど北へ行くと小さな丘に教会があった。中に足を踏み入れれば、15 世紀頃 に書かれた壁画、天井画が残ってゐる。Albertus Pictor といふ有名な人が描いた絵であるとのこと。絵巻物のような物語性を感じる絵であった。kalkmålningar といふからフレスコ画といふ訳が当てはまるのだらうが、僕らが知るフレスコ画とはどこか違ふ感じがした。さう言へばスウェーデンの国教がプロテスタントに代はる前の、カトリック的な雰囲気が残る教会でもあった。小さい教会はどこか暖かい。日本ではあちこちに町おこしが盛んで、各地に観光名所が整備されてゐる。それも一つの産業であれば活性化はやむを得ないことかもしれないが、ここの様に、あまり人の訪れることのない場所にひっそりとある名所は、あまり観光地化して欲しくないものだとも思った。