13,000年を登る

水 旧暦 7月18日 赤口 丙辰 二黒土星 Kaj V33 23926日目

Höga kusten は英語で言へば the High Coast で、日本語には「高台海岸」とでも訳すれば良いのだらうか。2000年にユネスコの自然世界遺産に登録された。昨夜泊まった宿近くの Högakustenbron から北約100キロメートルに及ぶ海岸線とその沿岸のBottenhavetの島々が世界遺産に指定された範囲である。E4 を北上すると海と島々が朝日に映えて美しい風景が広がった。naturum と言ふ展示室に入ってみた。地球の大気温度が今の様に安定したのはせいぜい1万年くらい前の事でそれ以前の氷河期には厚さ3キロメートルに及ぶ氷が大地を下方へ800メートルも圧縮して押しやってゐたと言ふ。氷が溶けるにつれて大地がじわじわと上昇し、過去13,000年かけて300メートルの高台にまでなったと言ふ説明が書かれてゐた。どうも僕にはその詳しいメカニズムは分からないが、ヒマラヤなどに見られる地殻による造山運動とは全く別の、氷河に起因した土地の隆起であるらしい。今なお毎年8ミリメートルの割合で上昇してゐると書いてあった。その建物の2階から山に続く道が続いてゐたので登ってみた。大小の岩のゴツゴツした道で65歳以上の老人向き散歩コースでは無いと思った。一歩進めるごとに何十年の歴史を思ったりもした。午後になって、そこから10キロメートル離れた Skuleskogens Nationalpark まで行ってみた。自動車で近づく事の出来るのは、北口、西口、南口の3カ所までである。僕たちは南口に自動車を停めて、そこから片道約3.5キロメートルの山道を歩いてSlåttdalsskrevan と言ふ地点まで行ってみた。往復3時間程度のコースであったが、随分己の年齢を感じる一日であった。