障子張り

水 旧暦 4月23日 友引 壬辰 五黄土星 小満 下弦 Konstantin Conny V21 23842日目

障子張りをしながら考えた。こんなに繊細で細い枠に薄い紙1枚だけ張って部屋を仕切ることの不思議をである。紙で出来た家の不思議と言はうか。子供の時は不思議とも何とも思はなかったが、今見ると不思議である。プライバシーも何もあったものではない。こんな部屋では引きこもりもできまい。日本の家屋では、家の内と外とを隔つ戸には鍵があるが部屋間の戸には鍵が無いものだった。それにこの障子張りと言ふ作業はまた何と手間のかかることかと思ふ。色々な自分を想像しながら作業をした。例へば、もし、自分が江戸末期の侍であったらどうだらう。廃藩置県で失業して明日からどうやって生きていかうかと悩みながら障子を張る自分を想像してみると、なかなかつらいものがある。次にもし自分が太平洋戦争に従軍し、戦後奇跡的に生還し、我が家に戻って障子の張り替へをしてゐる場面を想像する。すると何でも無いこの作業が何とも平和の有難さを象徴する行為に思はれて来るのだった。それでその後は平和の有難さをしみじみと噛み締めながら黙々と障子張りをした。日本の家は色々と考へさせてくれる様に出来てゐる。