想定外旅行

月 旧暦 3月1日 先負 辛丑 八白土星 新月 V14 Ester 23791日目

同居人:「この荷物を成田空港のホテルまで宅急便で出しておいてね」僕:「うん、分かった」家でこんな会話を交はしたのは数日前であったが、宅急便は翌日配達してくれるものと言ふ思ひ込みがあったものだから、ちょっと油断して他のことに夢中になってゐるうちに1日をやりすごしてしまった。配達希望日前日の朝一番に雨の中、歩いて荷物を配送センターへ持ち込んだ。クロネコヤマトのお兄さんに「お客さん、今とても混んでゐて、配達が2、3日遅れます。それでも送りますか」と言はれてしまった。同居人がホテルをチェックアウトして飛行機に乗ってしまってから荷物が届いても後の祭りである。さうなった場合の後処理を想像すると気が滅入った。都市部では即日配達の宣伝さへチラホラ見受けられる昨今であるのに、地方の実情はその印象からはほど遠い気がした。リスクを回避したい。即座に僕は「それでは送らずにおきます」と返事をして、雨の中、荷物をまた家に持ち帰った。消費税が8%に上がるので商店の人々は今夜はその準備で大変であるやうだが、運送業もそのとばっちりを受けて大変らしい。利便の享受を当然のことの様に考へる自分にも問題はある。「かうなったら成田空港のホテルまで僕が持って行くしかない」と判断して、まづ同居人のホテルの予約を電話でシングルからツインに変更して、今日は電車とバスで成田空港まで来た。こんなことが可能であるのは、本人がまがうことなきヒマ人である証拠だ。往復交通費とホテル代の追加が思はぬ出費となったが、平和の実現のためにこれくらいの努力を惜しんではならない。福島の原子力事故以来、想定外があってはならないと糾弾されるが、市民生活のレベルでは想定外があるからサプライズもあり人生は面白いのである。どんな愛の言葉も想定内にしか受け取られることが無かったら人生はつまらないだらうと思ふ。