日脚伸ぶ

木 旧暦 2月13日 友引 癸未 八白土星 Greger V11 23773日目

日脚伸びて、3月らしい暖かさが心地よくなって来た。僕が毎日の様に通ふプールはホテルの2階にあって、サイドの広いガラス窓からは午後の陽光がさんさんと降り注ぐ様になった。すると水の中が明るい。今日など、僕の他には誰も居なかったので、水の中に反射する光をゆっくりとかき分けながら随分リラックスできた。千メートルほど泳いだ。かういふ体験は日本ではなかなか出来ない。プールの帰りに自転車屋さんに寄った。整備してくれる兄ちゃんとはもう顔なじみである。昨日のうちに自転車を預けてタイヤを夏用に交換してもらってある。それを受け取ってそれに乗って家に帰った。行きはむろん歩いたのである。朝早くから同居人は仕事に出る日であった。遅いランチをひとりですませてから家を出て、町にさしかかった時、大きなロータリーをぐるりと回ってこちらに向かふ、同居人の運転する自動車が目に入った。もう仕事を終へて帰るところであるらしい。大きく手を振って挨拶を送ると、向かうは窓越しに手を振って返した。

仕事を辞めてひと月以上経つ。何かを始めなければいけないのかもしれないと一方で思ひつつ、他方では心の中を一度カラッポにしなければ何も始められない気がしてゐる。部屋や身の回りも一度整理したいのだが、それはなかなか進まない。心の中は一遍にはカラッポにできない。