菜の花忌

火 旧暦 1月12日 赤口 癸丑 五黄土星 建国記念の日 Yngve Inge V7 23743日目

明日は菜の花忌。司馬遼太郎の命日である。歴史といふものを表面的な教科書と年表でしか考へることの出来なかった、まだ若かった頃の僕に、まず人物があって、それぞれが生き生きと生きて、そしてそれが物語となって語られる歴史の面白さを教へてもらった作家である。日本では戦後の一時期、歴史が極端につまらないものとして学校で教育されたのではないかと僕には思はれてならない。歴史は客観的に記述されなければならないといふことは分かるが、何が客観的であるのかといふことはなかなか議論の難しい所ではないだらうか。司馬遼太郎はそれにひとつの回答を与へてゐると思ふ。司馬遼太郎の代表作はほとんどが長編小説であるが、しかし僕個人にとっては、むしろ短編小説の方が自分の生き方に特に強い影響を与へてもらった。具体的な書名で言ふと、「最後の将軍」と「殉死」とに僕は大きく影響を受けてゐる。そのことについて明日と明後日に少し書いて見ようかと思ふ。