昭和は遠くなりにけり

火 旧暦 8月20日 先負 癸巳 一白水星 Gerhard Gert V39 23604日目

古い家の整理はなかなか大変である。まだまだ使えるものもあるし、お茶碗セットなど、どなたからかいただいた時の木箱に入ったままでこれまでに日の目を見なかったものもある。シーツ、タオル、石けん、風呂敷のたぐいもたくさんある。そのまま捨てるには忍びないし、かといって取っておいても使うことは無いし、人様に差し上げられるものでもない。その点、ガラクタは単純に捨てれば良いと思いそうなものであるが、どっこいこれが裏を返すと、「大日本國防婦人會」と書いてあったり、父が若かった頃戦地に赴いた時に使った水筒があったりする。復員した時も水筒ひとつ肩にかけて戻ったのかも知れぬ。あんなに小さな水筒ひとつを持参してアジアの南の方で戦ったのかと思いを馳せてみる。そうすると色々なものがなかなか捨てられず、時間だけが過ぎて途方に暮れてしまう。蚊が多いので、古い蚊取り線香に火をつけてみた。子供の時代の夏休みの思い出が蘇る。朝、ふとんの中でぐずぐずしていると、蚊帳の一角が崩れて来て頬をなでられたものだ。そのとき麻の感触を心地よく感じた思い出もある。昭和は遠くなったものだなと感じてしまう。