引き合う力

水 旧暦7月11日 大安 丁酉 三碧木星 Lars V32 22827日目

地球は太陽に引かれている。地球は本当はただまっすぐにすべるように前へ行きたいのだが、太陽に引かれるものだからその進行方向が少しだけ内側に曲げられる。曲がった後はその新しい方向に向けてまたまっすぐにすべるように前へ行きたいのだが、また曲げられる。こうして連続的に進行方向を曲げられて、1年かかって地球は太陽のまわりを回ることになる。お互いに引き合っているのに、ぶつからずにいつまでも距離を保っているところが面白いというかありがたい。水素原子の場合はどうだろうか。原子核には陽子がある。外側には電子が回っている。プラスの電気を持った陽子とマイナスの電気を持った電子とは電気的な力で引き合っている。そんなに引き合うのならいっそぶつかってひとつになればよいのにと思うのだがそうはならない。電子は本当はまっすぐに陽子に向かいたいのだが、近づこうとすると足をすくわれて自分がどこにいるか分からなくなってしまう。その後自分がどこにいるかにようやく気づくと今度はどっちを向いているか分からなくなってしまう。それから改めて陽子を目指して近づこうとすると、また足をすくわれる。そういうことをえんえんと繰り返して、電子はまるで雲でもかかったかのように原子核の周りを振動するばかりである。決してそれ以上には陽子に近づくことが出来ない。不確定性原理という風に昔ならった。ここでもやはり、お互いに引き合っているのに、ぶつからずにいるという現象が見られる。男と女の関係も惹かれあいながらぶつからずにいるのがきっと一番安定しているのであろうと思う。