方違え

木 旧暦 8月16日 大安 丙子 九紫火星 秋分 満月 Tekla, Tea Höstdagjämningen V38 22507日目

旅に出るのは良いものだ。旅行が嫌いな僕でもそう思うことがある。旅に出るのは危険である、と昔の人は思っていた。方違え(かたたがえ)といって、行こうとする方角が悪いと、一旦別の方角へ行くふりをして少し進み、そこで1泊する。そうしてそこから翌日改めて目的地に向かうのである。昔の人は旅に出るにはそれくらい安全を祈願したのである。僕も見習ってみたい。出張に行くにも方違えをしたらどうだろう。「君、昨日来てくれる筈じゃなかったかね」。「それがお客さんは鬼門であったものですから方違えをしましてね、1日遅れたんですよ」こういう会話が堂々と通るような社会なら楽しいだろうなと思う。旅に出る前に、カバンを一旦空にする。ベッドの上に中味を並べる。それから改めて必要なものを確認しながらカバンに詰めていく。整理が済むまで寝ることができない。本当は旅に出なくても、週に一度はこういうことをすると良いのであるが、休みの日には気がだらけてなかなかできないものである。旅に出るのが良いと言うのは、そのような持ち物整理をする機会が、旅をすることで与えられるからである。旅は日常性からの脱却である。