昼の散歩

月 旧暦 4月18日 先負 辛巳 三碧木星 Petronella Pernilla V22 22392日目

外の陽気と新鮮な空気に誘われて昼休みに散歩に出た。深い緑の中にライラックも咲き始めている。食後でもあるし、一人の時は滅多に外で食べたりしないのであるが、昨日動物園で食べたソフトクリームがきっかけになったというわけでもあるまいが、降り注ぐ日差しの中で無性にまたソフトクリームが欲しくなって売店でひとつ買って食べた。すると鳥が寄ってくる。このあたりの鳥は人間の食べ残しを知っていて、「分かっているだろうな、コーンのところを少し残すんだぜ」とまるで催促するようなしつこさで迫ってくる。こうまで図々しいとばかばかしくてえさをやる気にもなれない。何故もっとしとやかに遠くの方で遠慮がちに待たないのであろう。その方がチャンスは増えるのに、馬鹿な鳥だ。アホウドリでももっと利口だぜと言いたい事をぶつぶつとつぶやいた。そうしてひとかけらも落とさないように注意深く食べ終えてから歩き出そうとすると、今度は若い人間のこどもが近づいて来た。50クローネのお札をちらつかせて、「あの売店でタバコを買って来てくれないかな」と来た。「アホか」と日本語がついて出そうになるが、そこをこらえるのが日本人のたしなみというものである。別に返すべき冗談の科白も思いつかないものだから、迷惑そうに眉をしかめて断った。「言葉の不自由な外国人に声をかけて交渉を試みようとした勇気だけは、お前、みどころあるぜ」とでも言ってやれば良かったか。最後に会社のところまで戻ると、1階にある台所の改築業者の会社の作業台のところに顔なじみの人たちが並んで日向ぼっこをしている。「そういえばこないだ頼んだ食器洗い機を取り付ける工事はいつ相談に来てくれるかね」と聞くと、「そうだな、そのうちに時間が出来たらきっと行くよ。それよりいい天気じゃないか」とのんきな返事を返してきた。今日の昼休みはこんな風にして終わった。