夢とうつつの間

日 旧暦10月19日 仏滅 庚申 四緑木星 Vibeke Viveka Söndagen f. domssöndagen V46 21831日目

人は夢と現実の間を行き来する生き物であると思う。古今集には「あなたと会ったのは確かな気がするが、あれはあなたが私の処に来たのであろうか、それとも私があなたに会いに行ったのであろうか。いやひょっとして、あれは夢であったのであろうか、それとも現実にあったことなのであろうか。」というような無責任な歌もある。正岡子規などがもっとも嫌った、理屈っぽい歌の代表なのかもしれないが、ともかくも、日本人は古来から、夢と現実の間を行き来してきた。ただ昔は、夢の中に一部現実につながる場所があり、現実の中に夢への入口があった。昔は夢と現実の間には混然とした部分もあったのである。それが時代が下がるにつれてその接点が全く無くなった。現代という時代に多くの「恋人たち」がいて、それぞれに恋しあっているのであろうが、本当の意味で「恋」をしている人たちは昔に比べて少ないのではないか、という気がする。これは僕が歳をとったせいでそう思うだけかもしれないのであるが、「恋」も「芸術」も「物語」も、美しいものは、ただ夢の中にしか存在しえないものになってしまったような気がする。