故郷の町

2024-03-28 (木)(令和6年甲辰)<旧暦 2 月 19 日>(友引 辛卯 七赤金星) Skärtorsdag Malkolm Morgan    第 13 週 第 27438 日

 

町を散歩すると、この道は子供の頃に歩いた道だなと思ふ。角を曲がった時とか、ふとした瞬間に、幼い頃に母に手を引かれて歩いた思ひ出が浮かび上がって来る。世界中のどんな町を歩いてもこんな気持ちになれるのは故郷の町だけである。でも、もしも自分が生まれてからずっとこの町に住み続けてゐたなら、そんな感慨は生まれなかったかもしれない。漢字学者白川静博士は「故郷とは、故郷を離れて住む者が、その「うぶすな」の地を呼ぶ名である。異郷にある者のみが、この語を用いることができる。」といふ言葉を残された。ちなみに白川先生は平成18年(2006年)6月10日に福井市内で「漢字の体系」について講演なさった。当時、たまたま出張で福井に来てゐた僕は先生のお話を直接聞くことができた。今から思ふと晩年の講演会で、まことに貴重な機会に恵まれたものだと、今でもあの日の講演会の様子を思ひだすことがある。

故郷の山 たけくらべ