昔のアルバム

2023-11-16 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 10 月 4 日>(先勝 戊寅 一白水星) Vibeke Vibeka   第 46 週 第 27309 日

 

iPad のホーム画面に「写真」ウィジェットがあって、それをクリックすると、昔の旅行した時の写真などがスライドショーになって次々に現れる。「これは〇〇へ行った時のものだ」とか分かるのだが、その町、湖、島の名前などがスッと出てこない。写ってゐる人の名前もすぐに出てこないことがある。「去るものは日々に疎し」といふが、使はない情報はどんどん記憶から遠ざかる。人の脳の記憶容量には限界があるのかな。また、記憶された情報にアクセスするのにかかる時間は何で決まるのだらう。本当は全て脳の中に情報として残ってゐるのだけれども、それを読み出す機能が衰へるだけだといふ話を聞いたこともある。忘れた何かを思ひ出さうとあがいてみることは果たして有効な脳トレになるのだらうか。スライドショーが次の写真に変はってしまふまでの短い間にそんなことを思った。新しい単語などは何度聞いても覚えられないが、天才は知らない言葉でも一度聞いただけで自分の口で言ってみることができるのだと言ふ。僕らでも同じ言葉を繰り返し使ってみれば記憶回路に定着するかもしれない。忘れかけたことに出会ふたびに記憶回路をリフレッシュするのだ。だが、日々アクセスできる範囲は限られる。結局、人の記憶とは自分は何に関心があるかを示す指標に過ぎないのかもしれない。役に立つかどうかもわからない脳トレに励むことなど諦めて、いつも身近に思ひ浮かぶものだけを大事にして生きてゐれば良いのかもしれない。

庭前のイチョウの葉。最後の一葉はいづれか。