戦後日本の出発日

2023-08-15 (火)(令和5年癸卯)<旧暦 6 月 29 日>(仏滅 乙巳 四緑木星)Stella Estelle    第 33 週 第 27216 日

 

8月15日は戦後日本の出発日である。広島・長崎の原爆をはじめとして、本土各地の大空襲で多数の犠牲を払ひながらも、幸運にも生き残った人々は、悲しみの中に、この日から平和に生きていけるといふ希望を見出した。一面の焼け野原の中で、ゼロからの出発が許された日である。その希望の光は、昭和天皇の「大東亜戦争終結に関する詔書」に集約されてゐる。外国から見れば「天皇は一番偉いはずだから、その天皇が戦争をやめると言ひさへすれば戦争はすぐにもやめられたのに」と思ふ人は今でも少なくないと思ふ。天皇ご自身は最初から、他国の主権を排したり、領土を侵すことは全くお考へでなかった。むしろ軍部に対して常に下問しブレーキをかけ続けられたのだった。しかし軍部から祭り上げられ、諸外国に対し責任を取ることだけ押し付けられ、その暴走をお止めになることができなかった。外からは悪人にされ、内からは担ぎ上げられてしまふといふ苦しみを長く引き受けられた。それでも、言語に絶するほどの確執の末に、漸く8月15日に玉音放送のオンエアが実現して、平和への道は開かれた。「もって萬世の為に太平を開かんと欲す」「総力を将来の建設に傾け、道義を篤くし、志操を鞏(かた)くし、誓て国体の精華を発揚し、世界の進運に遅れざらんことを期すべし」などの言葉が見られる。僕は思ふのである。戦地に赴いたかつての日本の兵士たちは皆、故郷を思ひ、愛する人を思ひ、生まれてくる命の為に、海や山に散った。その人たちの無念の思ひに、後裔である僕たちはどこまで応へてゐるだらうかと。今、平和の時代は終はらうとしてゐる。真に高い文化を持つ国は戦争を避けることができると僕は信じる。二度と戦争が起こらない為に、日本といふ国は何ができるのだらうか。それを今の政治家たちに委ねてしまっては危ない気がする。

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