「公開する」をクリックする瞬間

2019-01-10 (木)((未定)1 年己亥)<旧暦 12 月 5 日>(仏滅 丁未 八白土星)Sigurd Sigbritt  第2週 第 25536 日

 

まだ世の中にインターネットやメールがなかった時代、僕は日本と連絡するのに FAX を利用した。初期の頃はロール紙にプリントされたが、A4 の普通紙に印刷される様になって随分使ひやすくなった。FAX に何かを書いて送る時、内容の一部にうっかり間違ひがあると、後になって、訂正FAX を送らないといけない。これが煩はしいので、送信前になるべく読み返してチェックする様にした。でも、書いた直後にチェックすると間違ひに気づかないことが多かった。それで、急ぐ場合でも、原稿を一晩置いて、翌日に読み返してから送る様にした。これはなかなか良い方法であったと思ふ。夜寝る時に、仕事のことなど全然思ってないのに、ふっと「あそこは間違へたんじゃないか」と突然思ひつくことがあった。翌朝出社すると、案の定そこを間違へてゐる。またある時は、コピー機から刷り上がりが流れて来て、その絵が目に入った瞬間に、間違ひに気づいたこともある。検図するつもりで見た時には見つからなくて、関係のない、ちょっとした拍子に気づくことがあるのが不思議だった。今はもう、FAX を使ふことはない。メールを書いたらすぐに「送る」をクリックしてしまふし、ブログを書いてもロクに読み返しもしないで「公開する」をクリックしてしまふ。本当はかなり緊張の一瞬であるべきなのだが、いとも簡単にクリックしてしまふ。でもいまの様に何でも急かされる時代に、原稿を一晩寝かせてからブログを更新する様なことはできなくなってしまった。時代のせいにしてはいけないのだけれども。

 

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朝焼け。光を撮影するのは難しい。実際以上にシルエットが強くなってしまふ。調整のコツがあるのかもしれないが。