外国で日本車を買ふと

金 旧暦 1月19日 先勝 戊寅 三碧木星 Torgny Torkel V8 24478 日目

スウェーデンに移って来た当初は、滞在期間が何年になるかわからなかったし、何よりもまづお金がなかったから、恐ろしいほどのポンコツに乗ってゐた。次第に長居をする様になって、6年前に遂に新車を買った時にはそれなりに感慨があった。ヨーロッパの自動車にも無論惹かれたのだが、日本の自動車を応援すべきかなと思って、こちらで余り見かけない Honda の Insight を買った。その頃のハイブリッド車のハシリであったが、これは今はもう生産中止に追ひ込まれた車種である。でも一応は満足してそれに乗ってゐるのであるが、やはりその地域で見かけない自動車を買ふのはお勧めではないなと思った。といふのも、今日こんなことがあったからである。前にスウェーデンの Honda から手紙が来て、リコールで部品交換処理をしないといけないからあなたの車を近くの代理店へ持って行けと言って来た。自動車を買ったお店に相談すると、そのお店はもう Honda の代理店をやってないといふので、70 km 離れた Norrköping まで自動車を運転して行った。そこまでならまだ良いのであるが、修理の済んだ自動車を受け取る時、「RADIO CODE を知ってるかい?」と聞かれたので、「エッ、そんなものがあるの?自分で設定した覚えはないよ」と答へた。「RADIO CODEが分からないからラジオやCDのスイッチが入らないんだ。買ったお店で聞いてみてくれないか」と言ふ。僕は急いでゐたし、取扱説明書を読めばデフォルトコードか何か書いてあるだらうと思ひ、自動車を受け取って家に帰った。その後、取扱説明書を読んでも RADIO CODE のことは何も書いてないので、不安になって Malmö の Honda に電話した。そこでは話だけは聞いてくれたものの解決方法は工場に聞かないと分からないと言ってどこかの工場に電話を回してくれた。そこでまた同じ説明をすると、「それはバッテリーを一度外した後につないだ時出てくるメッセージで、君が自分では設定できないことだからこっちまで持っておいで」と宣うた。冗談ではない。そんなことだけのために 500km も離れた Malmö までも自動車を運転して行けるか。一度電話を切って、ことの次第を、自動車を買ったけれども今は もう Honda の代理店ではなくなったお店に電話して相談した。電話に出た兄ちゃんはちょっと親切で、「こちらで Honda と連絡してみよう」と言ってくれた。さてこの続きは、来週どうなるか。何しろ土、日は休みである。なぜ、僕はこんなことで色んなところに電話したり、気をもんだり余分な時間を使はなければならないのだろう。Norrköping の Honda の代理店は、指定代理店でありながら、正しい知識を持ってなかったことになる。これも対象が希少メーカー車種であったからかうなるのだ。ついでに書けば、ToyotaPrius を購入しようとかなり本気で検討したのに、その代理店のあまりに「けんもほろろ」の対応にすっかり買ふ気が失せて、他のメーカーに変更した人がある。恐るべき販売業者の驕りといふか、日本の社会では考へられないことである。日本が輸出すべきは自動車産業そのものではなくて、消費者に向けてのサービス体制のあり方ではないかと思ったことだった。