金縛り

木 旧暦 4月3日 赤口 壬申 三碧木星 Valborg Första maj V18 23822日目

テレビの「ためしてガッテン」で金縛りについてやってゐた。僕も、最近頻度は低いが、金縛りに時々悩まされるひとりである。学生時代に始まった。最初は怖かった。すぐ近くに友達が寝てゐることが分かってゐるのに、声を出して助けを求めようとしても声が出ない、といふこともあった。また出張中の宿で、トントンと誰かが階段を上がって来る音がハッキリと聞こえて、あ、誰か来るなと思ってゐたらたちまち部屋に入って来た黒い影の様なものに跨がられて苦しかったこともある。それがとても夢とは思へないリアリティを持ってゐたのだ。あの呪縛が解けるまで全身を振り絞り、踏ん張った末に首筋が痛くなるほどの努力はなかなか苦しいものである。漱石の「こころ」の先生の手紙の中にも金縛りのことではないかと思はせる箇所があって、最初にそれを読んだ時、ああ、僕のあの現象は僕だけが悩んでゐることではなかったのかと、文学作品への感動とは別に、大いに安心した思ひ出もある。昨日の番組では、ナルコプシー過眠症といふ言葉も出て来た。僕が高校時代に受けた授業は、前半は何とか起きてゐても、後半は持ちきれずに寝てしまふことが多かった。子供の頃には、母親が「これだけ寝る子はどこか病気じゃないかしら」と言って病院へ連れて行かれたこともある。今にして思へば、母親のあの時の診断は当たってゐたのかもしれない。