エレベータ事故

火 旧暦 9月23日 先勝 辛未 八白土星 Gustav Adolf V45 23282日目

Gustav Adolf の日である。町の広場にも肌寒い空に国旗が翻っていた。9月20日のブログで勤務先の建物のエレベータが点検に入ったことを書いたが、それは点検ではなくて新しいエレベータへの衣装替えであった。その工事が一月以上かかって完了し、今日からエレベータが使えるようになった。今までのように箱が上下するたびに壁が動く原始的なタイプではなくなった。各階にはステンレスの綺麗な自動ドアがついて、電光表示板もついた。普通ならこれで良かったと感想を述べるところであるが、よく見るとこのエレベータはシンドラー製である。ふと、先日、金沢のホテルで起きた事件を連想してしまった。一体何が原因であのような事故が起きたのであろうか。詳しい事故調査が求められるであろう。原子炉の場合もそうだが、どんな事故も、本質的な原因は短い言葉で表すことができるに違いないと僕は思っている。それを長々と時間をかけ、もったいぶって報告しなければ真剣に取り組んでいないように評価されるところに日本の社会の弱点がある。エレベータ事故の原因はどこにあるかというと、結局人材の質の低下にあるのだと思う。日本国内のメーカであればそのサービス事業の末端に至るまで命令系統が届きやすいと思うが、外国から来た会社は工場の無い日本でどうやってサービス体制を整えるのであろうか。テレビのように一度売ってしまえば保守の要らない機械であるなら、多少サービス体制が貧弱でも良いかもしれないが、エレベータなどは保守が命の事業である。各地の業者を安易に下請けのように使って、現地作業員がどれくらいのレベルかも調べず、自社の技術の体系的な教育もせず、ただ任せっきりにしているのではないかと疑われる。現場の各作業員は、「私の点検作業が安全を守る最後の砦である」という自覚を持っていないかもしれない。昔の日本にはどこの作業現場にも鍛え抜かれて責任感の強い人がいた。そういう人たちに支えられる限りは、管理する側は任せっきりにしても弱みが露見することはなかったかもしれない。今はそういう人たちが減ってきているのだと思う。少しでも条件の良い仕事はないかと周りをきょろきょろする人間が増えたからだと思う。そんな風にこの事故の原因を見ると、これは、シンドラー1社の問題ではなく、日本の技術サービス事業全体の危機を暗示しているのではないかと言う風にも思われる。