幸せを求めて

金 旧暦 11月17日 先負 辛亥 四緑木星 満月 Nyårsdagen V53 22242日目

この世に生きていくことはそれだけでもう大変なことだと思う。それなのに右を見ても左を見ても周りの人たちは、さも何でもなさそうに生きている。不思議で仕方が無い。これが江戸時代であったなら、人はただ存在するだけでよかった。生活は単調かもしれないが、人も家も田も畑も安定した継続という土台の上に成り立っていて、愚痴をこぼしながら、あるいは和歌や俳句をたしなみながら、人はただ生きていれば良かった。ところが、明治以来、日本は近代国家の道を歩んだ。それは歴史の必然と言うものであるかしれないが、ある意味で個々人にとっては生きていくのがつらい時代に入った。現代はそれがますます顕著になっているのではないかと思う。心を病む人が増えても仕方の無いような時代に突き進んでいる気がする。日本の江戸時代に戻ることができたら良いなと思う日もある。しかし、航海に出てしまった僕たちに、もはや江戸への回帰は許されない。複雑に仕組まれた経済のからくりの中に身をおいて生きていくしかないのである。

そうやって僕もなりふり構わずに生きている。ただ幸せを求めて生きている。幸せを求めること自体は悪いことではない。けれども、もしそれが自分のことしか考えない幸せであったなら、それはやはり本当の幸せとはなり得ないということをこの頃思う。本当の幸せを得るためにはどうしたら良いのか。それにはこれまでやって来た幸せの求め方とは逆行するような選択をせねばならぬのかもしれない。すると、この世に生きていくことは、さらにまた大変なことになって来る。僕のような弱い人間はどんなに頑張っても到底「無私」にはなれない。だから頑張らずとも良い。のんびりとリラックスして生きていけばよい。だがせめて、本当の幸せはそこには無いということだけは忘れずにいたい。

初夢や 範は左内か 松陰か