山のある風景

火 旧暦4月16日 先勝 庚申 六白金星 満月11:12JST Karolina Carola V21 21649日目

何年か前、富山を通過することがあったので、拓也君はどうしているかなと思い立って、富山駅で途中下車をしたことがある。拓也君はその時きっと忙しかったに違いないのであるが、世界遺産に指定された五箇山までもドライブして僕を案内してくれた。ドライブの途中、車窓から富山市の南側に連なる立山連峰を仰ぐことが出来た。山のある風景は人の暮らしにどんな影響を与えるであろうか。僕がスウェーデンに暮らすようになって物足りないと思うことが二つある。ひとつは海であり、もうひとつは山である。海というのはもう少し正確に言うと潮騒である。スウェーデンにもバルト海があるが、いつ眺めても鏡のように静かな水面があるばかりで、潮の響きや満ち干が無い。それが何とも僕には物足りないのである。今は日本の海も昔のような奇麗な海がなくなってしまったが、潮騒と白い浪は僕の心の中の日本の風景である。スウェーデンの南の方には広い平野が広がっていて、僕の住んでいる地域には山が無い。これもやや残念ではある。今日は飛行機に乗って、そのスウェーデンに帰って来た。住み慣れた町に着くと、雨に洗われた後の、実に美しい新緑に迎えられた。木陰に立つと、自分の顔までがあおく染められそうな気がした。