消息を絶った潜水艇

2023-06-22 (木)(令和5年癸卯)<旧暦 5 月 5 日>(先負 辛亥 六白金星) Paulina Paula   第 25 週 第 27162 日

 

イギリスの豪華客船タイタニック号が大西洋で沈没したのは1912年であった。海底に沈むその船の残骸を見学する観光ツアーで今度は潜水艇「タイタン」が消息を絶ったといふニュースが流れた。消息を絶ってから時間がかなり経過して、潜水艇内では酸素切れの状態になってしまふことが案じられてゐる。速く助け出してあげてほしいが、捜索は難航してゐる。狭い船内に閉じ込められた乗客や操縦士計5名の苦渋やいかん。ふと僕は佐久間艇長の話をおもひ出してしまった。タイタニック号が大西洋で沈没する2年前、大日本帝国海軍潜水艇山口県新湊沖で訓練中に沈没した。佐久間艇長をはじめとする乗組員14人はあらゆる手段を尽くしたけれども、浮上はかなはなかった。事故後、潜水艇を引き上げると、佐久間艇長の手帳が見つかり、そこには事故の状況が39ページにわたって克明に書き残されてあった。そしてそのことがのちの潜水艇の開発に大きな参考になったといふことである。誰もがこんなに沈着に死を迎へることはできないと思ふが、そんな話をおもひ出してしまった。佐久間艇長は福井県若狭のお生まれである。

天気の良い夏の一日であった