お茶の時間

土 旧暦 1 月 23 日 大安 辛丑 八白土星 Edla Ada V10 25232 日目

外国で生活すると言っても、日本からの駐在員として滞在する場合は、その町の人々との直接的な交流は薄い場合が多い。どうかすると日本人たちだけでまとまって小さな社会を作ってしまふこともある様に聞く。僕の場合は日本の会社を辞めてこちらに来たのだから、その分、町に溶け込んだ暮らしができる筈だったのであるが、何分にも仕事上のお客様は常に日本にあったから、いつも日本人の持つ価値観を大事にする必要があった。働き方など、スウェーデンと日本では全然違ってゐたけれども、こちらでの働き方を得意がって日本のお客様に話したりすると、納期もろくに守れないものが何を言ふかと、顰蹙を買ふ恐れが大きかった。それで、いつも、お客様より一歩下がった場所に身を置くことを心がけた。すると、結果的には、日本からの駐在員があまり地域社会に溶け込まないのと変はりない状況に自分が置かれるのを感じた。そのことを後悔はしない。さうでなければ自分はここまでやってくることができなかったからである。けれども、数年前に定年退職してからは、その様なくびかせから解放されたので、なるべく地域社会に馴染める様に心がけてゐる。実際、会社を辞めたのなら、もう何もここに留まる理由もないのであるが、せっかく外国に住む機会を与へられてゐながら、日本の価値観のまま長年暮らした挙句に帰ってしまふのでは勿体無いではないか、といふ気持ちもあって、定年後もこちらに滞在してゐる。こちらへ移って来てからいつも親しくしていただいてゐるご夫妻を今日は家にお呼びして、しばらくお話などすることができた。