鉛筆の匂ひ

火 旧暦 4月14日 大安 丙申 九紫火星 Reidar Reidum V19 24927 日目

机の上に筆記具が色々ある。ボールペン、万年筆、シャープペンシル、マーカー、サインペン、マジックインキなどだ。小さなペン立てはたちまち溢れてしまふ。そのくせ急ぎの時に取り出したペンがうまく書けないこともしばしばである。身の回りの整理整頓は筆記具にも及ばねばならないのであるが、これがなかなかうまくいかない。整頓の方針としては持つべきペンの種類を制限することにしてゐるのだが、「消せるボールペン」とか、「芯の折れないシャーペン」とか、新製品の CM を見るたびに、「面白さうだ」とばかりに、日本へ行くと文具屋さんへ寄り、色々と買ってしまふ。そして整理とは反対向きに状況は移って行く。その上この頃は、文書を機械で書くので、ペンを使ふ機会も少なくなった。手紙さへも機械で書くので末尾に「乱筆ごめんください」の文句も使へなくなった。ペン立てを調べると、その中には随分古い鉛筆もある。もう使はないなら、捨ててしまっても良いのだが、なるべく最後まで使ってやりたい。それでこの頃は古いノートの白いページや裏紙を利用して鉛筆書きで色々と書いて見ることもある。時々ナイフで木の部分を削ってやる。すると、こんなに古い鉛筆なのに、木の匂ひがプンと香っていい感じなのだ。芯の折れないシャーペンよりも忘れられた古い鉛筆の方が愛しい気がした。