Bostadsr〓tt

日 旧暦 1月21日 先負 庚辰 五黄土星 Maria V8 24480 日目

僕らの住むアパートでは各家の窓を新しく取り替えへようといふことになった。アパートの形式は Bostadsrätt と言って、アパートを購入したわけではないが、かと言って賃貸住宅でもない。このためある時期ごとに賃貸契約を結びなおす面倒はない。入居時に住む権利を買って入居し、そのうちによそへ引っ越したくなったら、誰かにその権利を買ってもらって出て行くのである。入居したい人が多い時には高く売れるし、誰も買ってくれない時は値を下げなければならない。室内の床や壁やレイアウトなどを自由に自分の好みに改造できるが、あまり他の人が利用しない様なつくりにしてしまふと、売る時に値切られる恐れもある。日頃から手入れを良くして住宅設備の価値が下がらない様に心がけるのはこの住宅に住む人達に共通のことである。もしこれがマイホームであれば、年を経て家が荒れてもそのままにしてしまひがちであり、それと Bostadsrätt とは大きく違ふところである。スウェーデンでは「空き家問題」は起こりにくいのではないか。自分の感覚で言へばまだまだ窓の交換などせずとも良いと思っても、自治会で交換しようと決まったら皆それに從ふことになる。この様に自分から気を配らなくても、組合が住宅の保守を見てくれる様なものだからありがたいことである。先日、この改造工事プロジェクトのための住民への説明会があった。スウェーデン社会で感心するところはこの様な説明会が開かれると、その開始時刻に遅刻してくる人はひとりも居ないことである。日本の鉄道は時刻表通りの運転をすることで世界的に定評があるし、スウェーデンの鉄道はその点では比べられないが、より広い市民の感覚的レベルで「時間を守る国民性」とか「個人が社会に参加してゐることの意識の高さ」に着目すると、スウェーデン人の一般市民のレベルの高さには目をみはるものがある。ともかく、近いうちに窓の交換工事が始まる。窓の周囲のものを外して工事がしやすい様に準備しなければいけないので、今日は少しその準備作業をした。