夢見るチカラ

火 旧暦 10月6日 先負 丁酉 九紫火星 Naemi Naima V47 24377日目

1週間ほど前の日本経済新聞に「僕らは大きくなりすぎた」といふ見出しで、新会社「アルファベット」の傘下にグーグルが組織再編された記事が載ってゐた。グーグルは検索エンジンの開発を軸に伸びた会社であるが、その活動内容は、世界中の書籍をデジタル化する計画、Gmail、グーグル翻訳などに留まらず、自走式ロボットカーの開発、グーグルマップ、グーグルアース、ストリートビュー、ユーチューブ、アンドロイド、クローム、気球を使ったネット接続サービスなど、ちょっと思ひつくだけでも実に多岐にわたってゐる。日本では「失はれた20年」とか呼ばれて愚図愚図してゐた間に恐ろしいほどのことをやってのけてきた。僕は毎日の様にグーグル検索を利用するが、どんな言語であれ、知りたい言葉を入力すると世界中の情報の洪水の中から一瞬のうちに的確な検索結果を表示してくれることに、今でも非常な驚きを禁じえない。その様な夢を現実に変へて来た力は実に素晴らしいと思ふけれども、それよりもっと素晴らしいと思ふのは、夢を具体的なイメージで思ひ描く能力である。1972年にマイクロプロセッサーが登場し、あれよあれよといふ間に MS-DOS からウインドウズの時代に突入し、ビル・ゲイツマイクロソフト帝国を築いた時、もはやこれで世の中の流れは決まったなと、僕は思ったものだった。そんな時代に、誰がウエブ上の情報を整理するなどといふ夢を思ひつくだろうか。それから後は当時の僕の予想をはるかに超えて、アップルが伸び、グーグルが伸び、アマゾンが伸び、さらにはそれらの間隙を縫ふようにフェイスブックが伸びた。その伸び方は、マイクロソフト帝国が築かれたまでの伸び方よりもすごいのである。これからさらにこの世界はどんな風に展開するのだろうか。人工知能の時代になり、僕らの仕事のスタイルが大きく変はるであろうことはきっと間違ひない。「夢を持て」と人は簡単に言ふことがあるが、夢を持つ能力は実はそんなに簡単なものではないのかもしれない。