中谷宇吉郎 雪の科学館

日 旧暦 2月10日 大安 甲辰 二黒土星 Jonas Jens Palmsöndagen Sommartid börjar V13 24155日目

何ヶ月か前、中谷宇吉郎随筆集を文庫本で読んだ。ある部分は科学の読み物であり、ある部分は文人の人となりを彷彿とさせる読み物である。寺田寅彦の薫陶はそんなところにも表れてゐる。しばらく後に同居人も同じ本を読んだ。同居人も面白いと言った。それでその時に、いつか中谷宇吉郎を記念した「雪の科学館」を訪れてみようかと思った。それは、片山津温泉街の近く、柴山潟といふ湖のほとりにある。実は僕の育った家からそこまで30キロほどしか離れてゐない。しかし、僕はこれまで、この偉大なる科学者の生まれ故郷に行ったことはなかった。昨日、金沢で北陸新幹線を降りてから、在来線特急に乗り継ぎ、加賀温泉駅で降りて、片山津へ行った。雪の科学館からは、湖の向かうに、白山の雄姿を眺めることができた。白山は福井県からでも見ることができるが、こんなにハッキリと大きな白山を仰ぐのは初めてであった。オススメの風景である。「冬の華」といふティー・ルームも印象が良かった。雪の科学館の中では、中谷宇吉郎博士の業績の紹介の他に、雪の結晶やダイヤモンドダストの実験コーナーもあり、楽しかった。温泉街は全体としてちょっと古びた感じもあるが、お湯はなかなか良かった。湖のほとりにあることで、景観も良い。僕はこんな温泉の方が好きだ。ここからさほど離れてゐない山中温泉へも前に行ったことがある。山中温泉は僕が小さかった頃、サナトリウムがあったほどの空気のきれいなところである。父が若いころそこで療養した記憶もあり、どんなところだらうかと、好奇心もあって、数年前に初めて行ってみた。今回は片山津にしてみたのだが、中谷宇吉郎博士ゆかりの地でもあるせいか、こちらもなかなか良かった。