長崎の日から69年

土 旧暦 7月14日 友引 壬子 六白金星 Roland V32 23922日目

長崎の日から69年。長崎に原爆を投下したB-29「ボックスカー」の搭乗員も広島に原爆を投下した「エノラ・ゲイ」の搭乗員も全員が既に世を去った。世界史の中で原爆の使用は戦争終結を早めて日米双方の犠牲を最小限に抑へたと評価する論調が今も一部にあるが心情的に僕は同意出来ない。極秘の原爆開発を急ぎに急ぎ、何とか日本が降伏する前に実際に使用して見せなければ開発に費やした巨大な予算の疑惑を議会で納得させられないと言ふ事情がアメリカにあった。それまで何とか日本が降伏しないでゐてくれと祈る人々があったことを忘れてはならない。さう思ふ一方で、日本側の「必勝」、「撃ちてし止まん」、「一億玉砕」などのスローガンが僕にはつらい。歴史に「もしも」は無いけれども、もしも日本がアメリカより先に核を所有したなら、当時の野蛮極まりない日本軍の風潮からして、ためらはずに核攻撃を実施してゐたに違ひないとも思ふ。もしさうなってゐれば、日本人は今とは別のレベルの重い十字架を背負はねばならなかった。アメリカによる原爆投下は絶対悪であったに違ひないが、それにも増して、僕たちの心臓に脈打つ血液にはあの日本軍の野蛮を許した記憶が潜んでゐることを思はねばならない。「必ず勝つ」と奮ひ立って戦地に赴くことの罪の深さを改めて思ふ。