メルトダウン

土 旧暦 2月26日 先負 壬寅 九紫火星 Vilhelm William V14 23433日目

先日、日本に帰った時に親しい友達から1枚のDVDを渡された。NHKの番組「メルトダウン 原子炉冷却の死角」という番組であった。僕のためにわざわざ録画しておいてくれたらしい。今日はそれを見た。あの時の中央制御室の様子が、さもこうであったろうと思わせるリアリティに満ちていて、謎が残されたままと言いつつもよく検証されていて感心した。日本と言う国がこういう番組を製作して放送できる国であることがありがたい。1号機から4号機までがそれぞれ別のシナリオで過酷事故に向かって同時進行していくものだから現場は本当に混乱しただろうと思う。シナリオとは後になって分かるもので、その結果を知るものは、あの時、こうすべきではなかったかと簡単に言えるものであるが、全くの不意をつかれ、混乱の極みにあって、現場においてさえ今何が起きているのか分からない状況では無理からぬ部分もあったろうと内心で思う。ただ、これからの教訓にするためにやはり徹底した検証は必要と思う。そもそも緊急冷却装置が作動するような状況が原子炉の寿命が来るまでの間に現実に起ころうとはあの時まで誰も予想していなかったのである。それが甘いと言えば甘いのであるが、事件が起きてからでないと人は弱点に気づかぬものである。原子炉の場合はそれが起きた場合の社会への影響があまりにも大きいので大変である。これからの運転員は大変だろうと思う。こういう、何百年に一回あるかどうか分からないような事態に対処する術を毎日の日常業務の中に反芻しなければならないのである。今は過酷事故にのみ社会の関心が集中しているが、運転員はもっと日常的なレベルで起きるであろう細かい多彩な事象に対応できなければならない。これから先、原子炉が再稼動を始めた時、そういう面がむしろ心配になってくる。番組を見ていてもうひとつ思ったことは、ディーゼル発電機や電気設備をもっと建屋の上部に置く設計は出来ないことかということであった。そのような重量物を階上に置くのはナンセンスかもしれないが、もしも、電気設備が津波をかぶらずに済んでいたらと思うと、そういう発想も検討すべきではないかと思ったことだった。発電所だけではない。大都会の多くの高僧ビルの電気設備も地下にある場合が多いのではないだろうか。洪水などが起きて電気設備がやられるとそのビルは何週間も機能が麻痺してしまう...。他山の石とすべきではないだろうか。