パンスターズ彗星

日 旧暦 1月29日 大安 乙亥 九紫火星 Edla Ada V10 23406日目

パンスターズという名の彗星が接近している。肉眼でも見える可能性があるというニュースを見て、スウェーデンでも見えるかもしれないと思い、夕方外に出てみた。今日はちょっと仕事にも出たのでいつもより早く切り上げて、その帰り道にどの辺から見るのが良いだろうかと場所を探しながら自転車を走らせた。町の古い時計台は小高い岩の上に建っている。ちょっとした建物の屋上位の高さはある。まず、そこへ行ってみると、西の方面もなかなか見晴らしが良い。それで、ここで見ようと決めたが、するとまだ日没に幾分間がある。何もしないでぼんやり日の暮れるのを待つのも良いかと思って空を仰いだ。広い空だ。あたりには誰もいない。はるか下の方を犬を連れた人がたまに散歩するぐらいである。町を見渡すこともできる。多くの人たちがそれぞれにここで生活しているのだなと思う。いつも見慣れている町でも、こうして何も思わずにただひとりで眺めていると、不思議な感慨がおそって来る。草や木に言葉が通じるような気もしてくる。どうして僕はここにいるんだろうという気もする。いつも何気なく見過ごしている日没がこんなに雄大で感動的な営みだったのかと驚く。やがて夕闇が訪れ、一番星も輝き始めた。建物の窓にもひとつふたつと灯りがともる。その時ふと、秋の夕暮れでもないのにどこか心細いような気がした。あたりがひどく寒いせいもある。氷点下8度くらいである。じっとしているとあまりにも寒く、これ以上体温を冷やすのも良くない気がして、まだ1等星の明るさの星だけが見える程度の薄明であったが、そこを後にして家に帰ることにした。彗星を見ることは出来なかったけれども、無駄な時間ではなかった。