ひもの日

木 旧暦 1月19日 先勝 乙丑 八白土星 Maria V9 23396日目

若い時から女にもてなかった理由を僕は自分でうすうす知っている。男前であるとかないとかいう事は問題にならない。結構な美女なのにどうしてこんな男と一緒になるのだろうと思われる男女対の例は世の中にいくらでもある。やっぱり原因は性格である。変なところで細かいことがいけない。変なところに几帳面なのである。男はもっとどっぷりと大きくなければいけないのに何かいつもけちけちしている。僕は電子計算機の発達する時代を生きて来た。電子計算機という機械は僕のように変なところに細かい人間をさらに細かい方向へかきたてる性質を持っている。振り返ってみると、世の中に電子計算機さえ登場していなければ僕はもっと女にもてていたに違いないと思うこともある。もしも自分が若くて、これから色々な機会に恵まれると仮定して、女にもてるためにこの変に細かい性質を捨てるか、それとも女にもてなくても良いからこの変に細かい性質を維持したいかと自分に問うてみよう。僕はやはりこの変な性質を変えられないと思う。してみればやはり今の人生はそれでよいのだ。もしも本当に女にもてたりすると、いらざる苦労もついてまわるものだろう。そのようにさとりながら、なおどこかで女にもててみたいと思っている。僕のように感じている男は実は世の中に意外と多いのではないだろうか。父の日とか母の日とか敬老の日とか色々あるが、僕はひもの日があると良いと思っている。満たされない全国の男たちのために、この日だけは女のひもになって暮らすことが許される日だ。そして寝ながらこんな句でも詠んでみたい。

春うらら ひねもす ひもと なりにけり