さよなら大鵬

金 旧暦 12月14日 先勝 辛卯 一白水星 Paul Pål V4 23362日目

何日か前に元横綱大鵬が亡くなった。昭和がどんどん遠くなる。柏戸大鵬。どちらも強い横綱であったが、この両横綱の名前もまたなんと洗練された名前であったことかと思う。名前が良かったから強くなれたのか、強かったから名前に風格が備わったのか、あの時代を知らないものでも、この名前を聞くだけで、強い横綱を連想できるのではないかと思う。実際、大鵬は強かった。強かったが意外に思われることは、最初はそれほどには強くなかったという話を聞くことだ。どんな力士でも闘志を燃やし努力しなければ強くなれないが、その努力の人一倍強かった人である。ああいう人の内面をお手本にすれば人は誰でも強く生きることができるのではないだろうか。本当に優しい人の内面はしなやかで強い。逆に強そうに振舞う人の内面がもろいこともある。最近は子供のいじめが社会問題になっているが、「弱いものをいじめてはいけません」という呼びかけよりも大事なのは「いじめられたらはねかえせ」という方向への教育ではないかと思う。いじめられた時、自らを反省してやましいことがなければ「千万人と雖も我行かん」というような強い心で生きることができれば、次第にいじめられることもなくなると思う。そして本当の優しさはそういう心からうまれることを知るようになると思う。横綱大鵬の生き方を見るとそう思う。昭和を懐かしむ感傷以上に、不屈の精神の旅立ちを惜しむ。