時代の力

土 旧暦2月25日 友引 丁丑 二黒土星 Gertrud V11 23048日目

日本人は日記をつけるのが好きである。さきの戦争でも多くの兵士が動員先で日記を書いた。明日の命を知らぬまま、誰にも読んでもらえる保証も無いまま、彼らは汗まみれのノートにどんな思いで文章をつづったかなと思う。そこには戦争の賛美も肯定も無かったろうと思う。抗しがたい時代の力に矛盾を感じつつ、ただ、そこから逃れることが出来ないつらさがあったろうと思う。戦後に生まれた者たちはいとも簡単に正義を振りかざし反戦を唱えるが、多くの意見はその時代に生まれあわせた場合への想像力を欠いているように思われる。僕がこんなことを書くのは、現代に生きる僕たちにも、あの時代とは違った形、違った程度で、やはり抗しがたい時代の力というものを感じるからである。抗しがたい時代の力とどう向き合うか、それへの解決なくして反戦を唱えるは虚しい。僕の日記もこの頃は週1回の更新程度に後退した。僕にとってはこれも時代の力と無縁ではない。