怒りについて(1)

土 旧暦12月28日 先負 辛巳 九紫火星 大寒 Agnes Agneta V03 22992日目

スウェーデンに移り住んだ頃、色々なことが目新しかったけれども、そのうちのひとつのことは、人があまり怒りを露にしないということであった。これはスウェーデンがそのような国であるというよりも、たまたま僕はそういう人達に囲まれる幸福な環境にあったというだけのことかもしれない。だが、身の回りには、この人を怒らせるのは難しいだろうなと思わせる人がたくさん居た。穏やかに生きる人が多かった。僕が小さかった頃には近所から夫婦喧嘩の音が聞こえてきたり、大人は怒鳴る人が多かったように思う。今でも怒る大人は多いだろうと思うが、住宅環境が変わったことで、怒りが密室化しているのだと思う。家庭内暴力という言葉を聞くこともある。感情をストレートに表現するのは子供のすることで、大人は感情を腹の内にしまうものと思っていたから、スウェーデンに来た時は、ここは大人の社会だなというような印象を持った。怒りとは何だろうかと思うこともあった。何か問題にぶつかった時に、そのことをあまり真面目に考えなければ、怒らなくて済む。真面目にそれを正面から取り上げるからこそ、怒りがこみ上げてくることがある。そうすると、何事にも怒らないですませるためには、ずるいかもしれないが、あまり正面切って問題にしないことがひとつのコツであるともいえる。現代人はみな心の中に怒りがあるのだと思う。それが陰湿な形をとって、乳幼児を虐待したり、極端な場合には「誰でも良いから殺したかった」などというところまで飛躍するのだと思う。現代という時代に人は何故怒るのか。怒りを抑えるにはどうしたらよいか、自戒をこめて少し考えてみたい。