昼休みに

金 旧暦12月27日 友引 庚辰 八白土星 Fabian Sebastian V03 22991日目

プリントしておきたい写真があって、二日ほど前に注文しておいた写真を取りに行った。注文の仕方は日本と同じである。機械にメディアを挿入して画面の指示に従って注文するのである。1時間後に出来上がるコースもあるのだが単価が少し高くなる。日本円にするとプリント1枚50円にもなるだろうか。急ぎでもない時が多いので二日後に取りに行くようにしている。お昼休みに取りに行くと、注文控を出す前から、お店の人がニコニコ笑って僕の名前を日本語のさんづけで呼ぶ。ちょっとうれしい気持ちと同時に、どうしてこの人は僕のことを知っているのだろうといぶかった。尋ねると、しばらくの期間ではあったが、8年ほど前に僕と一緒に仕事をしたことがあるのだと言う。ギョッ。そう言えばこんな顔の人が居たなと思い出すのにうんと時間がかかった。20年以上も同じ場所で仕事をしていると、その間にはプロジェクトごとにたくさんの人が入って来てまた出て行った。特定の人と仲良くすることがないせいもあるが、殆どの人を僕は忘れている。申し訳ない気持ちになる。多くの人は最初から短期間の契約で働くのであるが、中には正社員だった人もある。自分の意思で辞めていった人は良いが、会社の事情で辞めた人もある。昔職場で一緒だった人に会うと、ごく自然に「今でもあそこで働いているのかい」という質問が出る。「うん」と答える。これが、多分アメリカのような社会であったら何でもないのだが、スウェーデンの社会では一昔前に日本に居た時と同じような情が通う。やめていった人の多くは、明らかに僕よりも知識が豊富で能力が高い。言葉も不自由で能力も低いくせに、たまたま僕は変わった経歴を持っているというだけの理由でかろうじて首がつながっているだけである。社会保障の国とはいっても、その人の今が幸せなら良いが、そうでないなら申し訳ない気持ちになる。そのことを思うと、日々の業務に少々つらいことがあっても文句が言えないんじゃないかとも思う。