年末に思うこと

土 旧暦12月7日 赤口 庚申 四緑木星 Sylvester V52 22971日目

大災害に見舞われ、原子力発電所の未曾有の事故まで引き起こした今年の日本は、しばしば敗戦直後の日本になぞらえられる。状況は似ていると僕も思う。国民は誰も悪くなかった。国民は本当は誰も戦争に反対であった、原子力にも反対であった。悪かったのは戦争を指導した一部のものたちであり、原子力政策を推進した一部のものたちである、という論調に僕はどうしても馴染むことができない。そこにはおきてしまったできごとを「自らのことにおいて思う」という視点が欠けているからだ。戦後に生まれた僕達に戦争の責任は無いと言う人もあろう。だが、もしも、自分がその時代に生きていたなら自分は何ができただろうと想像してみることは大事と思う。「他のこととして思う」域を出ない人間が、自分の利益を損ねない範囲で、もっともらしい意見をとうとうと述べたところで、言葉に力が無い。今年の原子力事故を「自らのことにおいて思う」人間が今の日本にどれだけいるだろう。日本がこれから先、脱原発に向かうにせよ、原子力維持に向かうにせよ、この過程を経ずに安易にとびつく結論はまた次の過ちを引き起こす誘引ともなろう。反省なき原子力の維持は危うい。そして脱原発を叫ぶのはやさしい。だがその先に待っているものは、結局は僕達の文明の否定に終わるリスクもまた、自らのことにおいて思わねばなるまい。