秘すれば花

金 旧暦10月16日 先勝 庚午 九紫火星 満月 Mårten V45 22920日目

秘すれば花」という一句には日本文化の本質が凝縮されているような気がする。生産と消費活動のさほど活発でなく、心のありように人々の暮らしの関心があった時代にはそういう文化が発達するのは自然なことであったろうと思う。「お姫様」という言葉だってもしかしたら、「秘め」という言葉がもとになっているかもしれない。昔のお姫様は今は皆OLなどになっていて、今では深窓の処女など、どこにもいないのではないかと思う。秘め事の文化が長く続いた国の人間は、外に向けて何かを発表することが下手である。太平洋戦争でも例えば戦艦大和の仕様は軍事機密として厳しく管理されたが、今の僕らの感覚から見れば、もっと堂々と外国に宣伝した方が国威発揚の効果が高かったんじゃないかと思う。もっと公開してもっと明るい戦略を立てていれば、沖縄特攻などもあるいは避けられたのではないかと思うことがある。現代に至って、経済活動の活発な時代となって、いかに分かりやすく社会に向けてその活動の内容を公開できるかが、その団体の成否の鍵を担っている。オープンな会社ほど成功するとも言える。オリンパスの事件を見てもわかるが、経済活動に秘密は禁物である。だが、そういう時代であるからこそ、個人のレベルでは「秘すれば花」の世界を内側に持つことが重要になってくるとも言える。何を公開すべきで、何を秘密にすべきであるかの境界線を瞬時に明快に正しく引くことのできる能力が21世紀の日本人に求められるように思う。