碧い目の太郎冠者

水 旧暦3月25日 先負 壬子 一白水星 Engelbrekt V17 22723日目

碧い目の太郎冠者といえば、ドナルド・キーン先生のことである。大震災の被害を受け、福島第一原子力発電所からの放射能漏れさえ懸念される日本に来て国籍を取り、永住することをお決めになった。今日はコロンビア大学で最終講義があったそうである。キーン先生は、僕にとっても日本文学の大事な先生であるので、こういうご決心をなさったことをうれしく思う。「日本との出会い」という本も昔読んだ覚えがある。戦争中に、日本人兵士の残した家族への手紙の数々に触れて、心動かされたお話もあったように思う。先生が日本に初めて来られた頃の日本には確かに美しいものが多かったけれども、今はもはや美しい日本の風景も少なくなっている。そんなことはすべてお見通しの上でご決断なされたのであろうと思うが、それでも失望なさることはないだろうかとやや気にかかる。これからの僕たちはどんな風にして美しい日本を取り戻すことが出来るだろうか。