省線の来ない町

火 旧暦 1月6日 赤口 甲午 四緑木星 Berta, Bert V6 22643日目

省線とは今のJRのことである。鉄道省の時代にはその線路という意味で省線と呼ばれていた。その後、日本国有鉄道となって略称「国鉄」とよばれた。国有鉄道であるのになぜかプロ野球チームを持っていた。優雅な時代である。チーム名を国鉄スワローズと言った。つばめは早いので特急の愛称にも使われたが、野球チームの名前にも使われたようである。国鉄は組合が強くてストを決行しては時々ニュースになった。民営化されてJRとなったのは昭和の終わり頃であったと思う。

北陸本線が建設された時、町の中心部にそのような設備が出来ては迷惑になるであろうと言って、町から4kmも離れたところに駅が出来た。あぜ道しかなかった時代に4kmを歩くのは大変であったろう。鉄道の便利さを予測できなかった当時の人たちは、経済の発展の機会を自ら遠ざけた愚かものであったと小学校の社会の時間に習った。けれども、今から思うと、それはなかなか優れた判断であったかも分からないと思う。不便であることによって、昔の町の趣が少しでも保存されたからである。今は道路事情が良くなったので、交通量が増え、もはや隔離された町ではなくなった。また、4kmを歩くのはわけも無い。今でも省線で帰って、あとは4kmを歩いて家に帰ることもある。この前の日曜日もそうして家に帰った。不便といえば、確かに不便である。