信州りんごとヘムグラス

水 旧暦 9月11日 先勝 丙午 六白金星 Simon Simone V44 22177日目

子供の頃、家の近くの路地に時々トラックが止まって、拡声器が何かを叫ぶことがあった。りんごを売りに来るのである。当時は道路事情も悪かったと思うが、遠い信州からやって来て、「産地特売です」とか言ってトラックの周りに集まった人たちにりんごを売るのであった。りんごはもみの中から取り出されていたように思う。行ってしまわないうちに祖母について買いに出るのがちょっとした楽しみでもあった。その他、富山の薬売りが来ることもあったし、近くの海で取れた魚をその日のうちに売りに来るものもあった。今では流通が発達したので、そのような小売の方法はほとんど姿を消した。ところが、スウェーデンの僕たちの住んでいる近くではこれに似たやり方で今も売られているものがある。それはアイスクリームである。「パパパパン、パパパパン、パッパ、パッパ、パン」というチャイムを鳴らして毎週水曜日の夕方、水色のトラックがやってくる。この地域は何時ごろに来るとあらかじめ決められている。こんなやり方で売り上げがあるのかなと、やや心配な気もするが、こちらに移ってきてからずっと続いているところを見ると、余計な心配は無用かもしれない。いつもは買いに出ないのであるが、今日は同居人とアイスクリームを買いに出てみた。まだ夕暮れの時間であるのにあたりはとっぷりと暗くなっていた。