母の思い出

土 旧暦 閏5月19日 大安 丁巳 三碧木星 Eleonora, Ellinor V28 22068日目

朝の出発が早いものだから、昨夜は姉の家に泊めてもらった。母が生前使っていたベッドを借りた。事故にあう前夜、母はここでどんな夢を見ただろうかと思った。母はいつも悲観の人であった。老いていくことの悲しみの先に、何か明るいものを見せてやりたいと常々僕は思っていたが、結局それは僕の力では出来なかった。何事につけても母は考え方を暗い方に持って行ってしまうのであった。そのことを自分で気づいていながら直すことができなかった。あんな事故に巻き込まれてしまうことになったのも、普段の考え方がいつも後ろ向きであったこととどこかでつながっているのではないかと、思うこともある。母の前では僕はおかしなことを思いつくことがあった。思いついたことを話すと母は面白そうに笑った。母によく受けたおかしさは、良く考えると、悲観的な見方の上に成り立つおかしさであったかもしれない。だから、普通の人にはさほど面白くもないことが、母には良く受けた。そのことで母は僕をやはり悲観の人と思ったか知れない。だが僕は、心の中に意外に楽観的な横着が、ヒョイヒョイと首をもたげるのを感じることもあった。母の気づかないところでそれを感じたので、母を裏切っているのではないかと後ろめたく思ってしまうこともあった。今朝は早い時刻の出発の姉夫婦の車に乗せてもらって移動した。納骨の時と同じような移動であるが、ルートは違った。午後にはふるさとに着いて、菩提寺のお施餓鬼会という法事に出た。