長屋住まい

水 旧暦 12月 12日 大安 壬子 七赤金星 August Augusta V2 21883日目 -4.8℃

僕らの住むアパートは2階建てであるが、下の階に4家族、上の階に4家族という構成で、こういう建物をスウェーデン語では Bostadsrätt というのであるが、要するに長屋のようなものである。毎月部屋代を払うが賃貸契約期間というものは無く、出て行く時にはここに住む権利を他の人に買ってもらって出て行くことになる。奇麗な部屋は高く売れるし、汚い部屋は安くしかならない。入口が二つずつ並んでいて、その一方は下の階への入口、もう一方は入るとすぐ階段になっていて上の階につながっている。去年の夏に僕らの上の階に越してきた人は自分の部屋を奇麗にすることに執心で、入居以来かなり長期的に自前の改造工事をやっている。このクリスマス休暇は一日も欠かさずに工事が続いた。そのせいで、毎日頭の上でとんとんとん、がりがりがりと音がして僕らは少しも休まらなかった。冬の静かな時期にあの音はこたえる。僕は耳が遠いからまだ良いのであるが、同居人はイライラが昂じた。毎日、今日が最後かもしれないから我慢しようねと我慢に我慢を重ねていたのであるが、とうとう昨日、僕のいない間に同居人は苦情を言いに行った。向こうはケロリとしたもので、ああ、そうだったのかというような按配ということであった。それでもそれがきっかけで、今日の郵便受けには周囲の人たちへお詫びのチラシが配られていた。長屋生活には苦労がある。よく知った人なら仕方ないかと思うのであるが、あまり知らない人であるとイライラが昂じるものである。どんなに我慢しても決してご褒美の無い我慢はなかなかしんどい。