コードなき電気製品の時代

金 旧暦8月6日 先勝 戊申 四緑木星 Adela Heidi V36 21759日目

20世紀後半、電子技術は長足の進歩を遂げた。僕が学生だった頃は、ラジオやテレビの内部にはまだ真空管が何本かささっていた。その道に詳しい友達が、筐体の裏の蓋を開けて、この部分が水平発信回路だよなどと教えてくれたし、学校の授業でも真空管工学なんて科目があった。真空管として最後まで残ったブラウン管も今ではあまり見かけなくなった。オシロスコープなどではまだブラウン管が使われているのかもしれない。団塊の世代とは激しい技術革新の波をまともにかぶって生きた世代でもある。ああいう技術を支えてきた人達が仕事を離れていくと、何年か後には、人類は質の良い真空管を製造することが出来なくなるのではないだろうか。昔出来たことが、今はもう出来ない、という人類の遺産はいくらでもある。ピラミッドを今の技術で作れと言われても出来ないと思う。そんなに大昔のものでなくても、例えば1923年に出来た ストックホルム市庁舎だって、今から同じ建物を作れと言われても出来ないと思う。あのような手作りの建築を同じように作ろうとすると途方も無いお金がかかって、結局出来ないのである。技術が発達すると、後退する一面もある。

ただ、やはり全体として技術の発達はすごい。その中でもバッテリーの発達に感心する。携帯電話やノートPCを支えているのはバッテリー技術ではないかと思うほどである。電気製品の欠点はコードが必要なことだ。強力なバッテリーの出現はコードレス電気製品を生んだ。今はさらに進んでそのコードを接続せずに、バッテリーに充電する技術が開発されているという。技術の進歩はやむことが無い。