イージス艦と漁船との衝突

木 旧暦1月15日 先負 辛卯 七赤金星 満月12:31JST Hilding V08 21562日目

日本に来てテレビを見ると、海上自衛隊イージス艦が漁船に追突したニュースばかりが報じられている。僕にとって良く分からないのは、船を操縦するプロの集団が、何故、船同士の衝突回避という、初心者でも最も気をつけるべき点で問題を起こすのか、ということである。そのようなレベルの乗組員が、果たして、日本に飛来するミサイルの探知、追尾が出来るのか、はなはだ心もとない。その時見張り隊員はどうしていたかとか、緑のランプを監視確認したとか、ニュースで報道されることは前時代的な確認方法ばかりである。なぜレーダーというもので衝突警報が出ないのか、イージス艦は真面目にレーダーを監視していたのか、不思議で仕方がない。防衛大臣への報告が遅れたことも問題である。例えば原子力発電所で問題があった時、いちはやく状況を行政に知らせることが重要であるが、次々と警報が出た場合、一体何がどうなったのか、担当者でもすぐに分からなくて、それを正しく判断して、分かりやすくまとめて報告するのに十分かかりました、というのなら、分かるような気がする。船と船とが衝突したなら、これはもう何が起こったかは誰の目にも瞬時に明瞭で、ただ、衝突しました、相手に被害が出ているからすばやく救援態勢の応援をお願いします、と報告すれば良いのである。時間はかからないはずである。こういう現場にあって、ことの大きさと被害者への配慮、社会への影響の大きさを瞬時に的確に想像する力を持つ人間が居あわせなかったことが、日本の災害対策や危機管理の未熟と愚鈍を象徴しているような気がする。これも僕に言わせれば、戦後の国語教育の貧困の結果なのである。過ぎ去ったことに個人的な過失責任を問うよりは、どのようなエラーの重なりがこのような事故の原因になるのか、厳しく調査して欲しいと思う。